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バイクで出かけよう

絶景の聖地「ビーナスライン」完全ガイド

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日本全国に数あるツーリングルートの中でも、多くのライダーが「一度は走ってみたい」と憧れ、リピーターが後を絶たない場所があります。長野県の茅野市から美ヶ原高原までを繋ぐ「ビーナスライン」です。かつては有料道路でしたが、現在は全線無料で開放されており、平均標高1400m、最高地点では約2000mにも達する雲上のワインディングロードとして親しまれています。森林限界を超えた高山植物の緑、眼下に広がる雲海、そして遠くに望むアルプスの山々。今回は、ライダーの聖地とも呼ばれるこのルートの魅力と、安全に楽しむための攻略法を解説します。

全長約76kmの天空回廊!エリアごとの景色の変化を楽しむ

ビーナスラインの魅力は、何と言ってもそのスケールの大きさと、エリアによってガラリと変わる景色の変化にあります。ルートは大きく分けて、茅野市街地から蓼科高原・白樺湖へ抜ける「高原エリア」、白樺湖から車山・霧ヶ峰へ至る「草原エリア」、そして霧ヶ峰から終点の美ヶ原高原を目指す「山岳エリア」の3つのセクションで構成されています。全体を通して約76kmという距離は、信号がほとんどない快走路であるため、走り抜けるだけであれば2時間程度で走破可能です。しかし、絶景スポットでの写真撮影や休憩を挟むことを考えると、少なくとも半日、できれば余裕を持って4〜5時間は見ておきたいところです。

スタート地点となる茅野側から登り始めると、最初は緑豊かな森の中を抜けるワインディングが続きます。適度なカーブを楽しみながら標高を上げていくと、白樺湖周辺で視界が一気に開けます。ここから霧ヶ峰にかけての区間こそが、ビーナスラインのハイライトと言えるでしょう。高い木々がなくなり、なだらかな起伏を持つ草原の中を道路が一本の線のように伸びていく景色は、まるで日本ではないかのような開放感です。ニッコウキスゲが咲き誇る初夏や、ススキが黄金色に輝く秋など、季節ごとに異なる表情を見せてくれるのもこのエリアの特徴です。

霧ヶ峰の交差点(霧の駅)からさらに奥、美ヶ原高原へと向かうルートは、より険しい山岳道路の様相を呈してきます。道の両側が切り立った崖のようになっている場所もあり、迫力満点のドライビング体験が待っています。標高が上がるにつれて空が近く感じられ、天候条件が揃えば足元に雲海が広がる幻想的な光景に出会えることもあります。単調な一本道ではなく、走るたびに新しい発見がある多様性こそが、多くのライダーを惹きつけてやまない理由なのです。

雲上の休憩スポット「日本一高い道の駅」を目指して

ツーリングの目的地として設定されることが多いのが、ルートの終点に位置する「道の駅 美ヶ原高原」です。ここは標高約2000mという日本一高い場所に位置する道の駅として知られています。広大な駐車場には全国各地のナンバーを付けたバイクがずらりと並び、ライダー同士の交流の場にもなっています。併設されている美ヶ原高原美術館の野外展示をバックに愛車の写真を撮ったり、展望テラスから浅間山や北アルプスのパノラマを楽しんだりと、休憩以上の価値があるスポットです。

また、道中の「霧ヶ峰」周辺も外せません。かつてドライブインとして賑わった「霧の駅」周辺や、グライダーの滑走路が見える「霧ヶ峰富士見台」には、広めの駐車スペースがあり、ソフトクリームや焼きとうもろこしなどの軽食を楽しむライダーで賑わっています。少し脇道に入れば、ヒュッテ(山小屋)でおしゃれなボルシチやコーヒーを味わえるスポットもあり、絶景を眺めながら優雅なランチタイムを過ごすことも可能です。

ただし、人気の観光地であるがゆえに、休日や連休中の混雑には注意が必要です。特に白樺湖周辺や霧ヶ峰の駐車場付近は、観光バスやマイカーで渋滞が発生しやすくなります。自分のペースで気持ちよく走りたいのであれば、交通量が増える前の早朝の時間帯を狙うのが鉄則です。朝日を浴びて輝く草原の中を独占状態で走る体験は、早起きをしたライダーだけに許された特権と言えるでしょう。

真夏でもメッシュジャケットは危険?標高2000mの掟

ビーナスラインへ行く際に最も気をつけなければならないのが「気温」と「服装」です。下界の市街地が30度を超える真夏日であっても、標高2000mの美ヶ原周辺では気温が20度を下回ることが珍しくありません。計算上、標高が100m上がると気温は約0.6度下がると言われており、平地との気温差は10度以上になります。走行風を受けるバイクの場合、体感温度はさらに低くなるため、平地と同じ感覚でフルメッシュジャケット1枚で登っていくと、寒さで震えることになります。真夏であっても必ず防風性のあるインナーや、薄手のウインドブレーカーを携行することをおすすめします。春先や秋口に訪れる場合は、冬装備に近い防寒対策が必要になることさえあります。

また、「ガソリン残量」の管理も非常に重要です。ビーナスラインのルート上、特に霧ヶ峰から美ヶ原高原へ向かう山岳エリアには、ガソリンスタンドがありません。白樺湖周辺には数件のスタンドがありますが、営業時間が短かったり、休日休業だったりする場合もあります。山頂付近で燃料警告灯が点灯してしまうと、そこから数十キロにわたって給油できないという絶望的な状況に陥ります。精神衛生上良くないだけでなく、ガス欠での立ち往生は他の交通の迷惑にもなります。ビーナスラインに入る前、茅野市内や諏訪湖周辺、あるいは上田側の麓で必ず満タンにしてから登り始めるのが、トラブルを避けるための鉄則です。

山の天気は変わりやすいという言葉通り、麓が晴れていても山頂付近は濃霧(霧ヶ峰という名の通り)に包まれることが多々あります。視界が数メートル先も見えなくなるような濃い霧が発生することもあるため、無理な追い越しはせず、慎重な運転を心がけてください。絶景と走りごたえ、そして少しの冒険心。準備を万端にして、天空のツーリングロードを存分に楽しんでください。