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エンジンに関する用語

油冷エンジンとは

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エンジンの冷却が必要な理由

エンジンが動いているとき、触れることができないほど高い温度になるのは周知の事実です。
エンジンが高温になる最も大きな要因は燃焼室内での混合気の爆発燃焼で、おおよそ800℃まで温度が上昇します。
エンジンを冷却せずに稼働し続けると、さらに温度が高くなり、オーバーヒートを引き起こしエンジンが停止することになります。

ピストンやシリンダーが溶けてしまい、エンジンが完全に止まってしまうトラブルが「焼きつき」です。
ピストン、シリンダー、クランクシャフトなどの部品交換が必要となり、最悪の場合はエンジン全体を交換しなければならない致命的な故障となってしまいます。
これを踏まえると、エンジンを適切に冷却することがとても大切なことがおわかりでしょう。
その方法として、水冷や油冷といったエンジンの冷却手法が存在します。

油冷式エンジンの仕組みと役割

現在、多くのバイクのエンジンは水冷式が一般的です。
2000年以前には軽くてコンパクトで簡単な構造を持つ空冷式エンジンも存在しましたが、冷却効果が不十分で排ガス規制に対応することが難しいため、市場からほとんど姿を消してしまいました。
とはいえ、水冷式エンジンは冷却効率が高いものの、燃焼室とシリンダーの周りにウォータージャケットを設置する必要があり、構造が複雑で小型化が難しいという問題があります。

この問題を解決するために考案されたのが、油冷システムです。
油冷式エンジンでは冷却水の代わりにエンジンオイルを利用し、オイルに潤滑と冷却の二つの機能を兼ね備えさせています。
ウォータージャケットが不要なため、軽量でコンパクトに作ることができます。
ただし、冷却効果は水冷式と空冷式の中間程度です。

油冷式エンジンにはシリンダーヘッドの温度が上昇しやすい部分にオイルを吹きかける仕組みが必要ですが、基本的には冷却フィンを持つ空冷式エンジンと同様のシンプルな構造となっています。
通常の潤滑用オイルポンプに加えて、冷却用のオイルポンプも搭載しているのが特徴です。
このポンプを使ってエンジンオイルをシリンダーヘッドに送り込み、燃焼室の壁面などに吹き付けて冷却します。

シリンダーヘッドを冷却した後のオイルはオイルパンに戻り、エンジンの各部を潤滑したオイルと混ざり合い、今度はオイルクーラーへ送られます。
オイルクーラーに送られたオイルは走行中の風によって冷やされ、潤滑オイルポンプと冷却オイルポンプによって再び循環されるという仕組みです。
油冷式エンジンは水冷式エンジンに比べてシステムがシンプルで、軽量でコンパクトな設計が可能であり、空冷式エンジンよりも安定した冷却性能を実現できます。
このため、現在ではさまざまなバイクにおいて油冷式エンジンが採用されるているのです。