メンテナンス関係の用語

バッテリー

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バッテリーの重要な役割と主要種類

バッテリーはエンジンを始動させるセルモーターに必要な大電流を供給し、ヘッドライトやウインカー、イグニッションコイルなどすべての電装系を支える要です。主流の鉛蓄電池は「開放型(メンテナンス型)」と「密閉型AGM(メンテナンスフリー型)」に大別され、前者は定期的に蒸留水補充が必要な反面コストが低く、後者はシール構造で外部作業が不要、耐振動性と自己放電率の低さが特長です。近年はさらに耐久性と放電特性に優れるリチウムイオンバッテリーも登場し、軽量化を図りたいスポーツバイクや電装強化車に採用例が増えています。ただしリチウムタイプは過放電に弱く、専用充電器やBMS(バッテリーマネジメントシステム)での管理が不可欠です。バッテリー容量(Ah)とコールドクランキングアンペア(CCA)は車両メーカー指定を厳守しましょう。たとえば、6.3Ahクラスなら約90CCA、11.6Ahなら約210CCA前後が標準的で、400〜750ccクラスでは200〜300CCAの製品が適合します。

交換時期の見極め方と目安サイン

バッテリー寿命の目安は「走行距離約5万kmまたは使用開始から2~3年」とされますが、使用頻度や充放電管理によって前後します。見た目ではケースの膨張やひび割れ、端子部の白い粉(硫酸鉛)付着が要交換サインです。電圧測定では休止状態で12.6V以下なら注意開始、12.2Vを下回るとほぼ劣化限界、11.9V以下は寿命と判断します。さらに開放型では比重計を用い、比重1.27以上が良好、1.20以下なら要交換です。セルモーターの回転が弱くなる、ライトが暗い、始動に複数回キックが必要など実走での不調も見逃せません。交換時は廃棄方法にも配慮し、公益財団法人自動車リサイクル促進センターの「二輪車リサイクルシステム」に登録された取扱店へ持ち込み、適正リユースまたは再資源化を行いましょう。

長持ちさせるためのメンテナンス術

長く使うには「定期的な充電」「適切な保管」「端子の清掃」が欠かせません。長距離ツーリングやシーズンオフ後はトリクルチャージャー(少電流自動制御充電器)を用い、過放電を防ぎながら満充電状態を維持します。保管時はバッテリーを車体から外し、湿気の少ない室内で保管。3ヵ月に一度は電圧/比重をチェックし、必要時は再充電しましょう。端子部はワイヤーブラシで腐食物を除去後、専用グリースを薄く塗布して接触不良を防止。リチウムタイプは温度管理(5~25℃)が長寿命化の鍵です。また、充電は風通しの良い場所で行い、過充電や急速充電は避けるのがポイントです。さらに夏場の高温多湿や冬季の極端低温を避け、バッテリーの熱膨張や凍結を防ぐことで、性能劣化を抑えられます。環境に配慮しつつ適切なケアを続けることで、バッテリーは規定寿命を大きく超えて安定動作してくれます。